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季節や時間によって違った表情を見せる富士山を描き分けようという試みは、すでに室町時代から行われていました。やがて江戸時代になると、富士山を眺める(描く)場所が一気に増加し、新たな富士山ビューポイントが「発見」されていきます。
歌川広重 / 嘉永5(1852)年
北斎《富嶽三十六景》の成功に触発されたもので、各地から見た富士を表情豊かに描き分ける。大胆な構図の作品に目を奪われがちであるが、小画面の本作においては、繊細な景趣をあらわした詩情豊かな作品に広重本来の資質がよくあらわれている。
ジョルジュ・ビゴー / 明治18-20(1885-1887)年頃
風刺画で知られるビゴーの珍しい油彩画。静岡県沼津市・江浦海岸より淡島ごしに富士を望む構図。遠景に富士を大きく捉え、前景の草むらは細部まで丁寧に描かれている。ビゴーは、この作品を母国フランスに持ち帰っている。