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富士山が世界遺産に選ばれたわけ
芸術の源泉 / 物語に見る富士山
古典と呼ばれる物語の中にも富士山は登場します。富士山そのものを題材としたものではありませんが、その存在感は物語の中で重要な役割を持ち、当時の富士山信仰をうかがい知ることができます。
竹取物語
10世紀につくられた作品で、日本最古の物語とも言われています。「かぐや姫」としても知られ、はなしの終わりに「不死の薬を月に最も近い山くように」との記述が富士山を物語っています。

『竹取物語貼交屏風』のうち、「天人の迎え、かぐや姫の昇天」 立教大学図書館
伊勢物語
平安時代の9世紀〜10世紀につくられた歌物語。天才歌人・在原業平をモデルにしたといわれ、恋愛や流浪などのさまざまな内容が含まれています。富士山が出てくるのは、第九段の東下りのところです。

『伊勢物語絵巻』 和泉市久保惣記念美術館
- 原文:
- 富士の山を見れば、五月のつごもりに、雪いと白う降れり。
時知らぬ山は富士の嶺いつとてか 鹿の子まだらに雪の降るらん
その山は、ここにたとへば、比叡の山を二十ばかり重ねあげたらんほどして、
なりは塩尻のやうになんありける。 - 現代語訳:
- 富士山を見ると、五月の末だというのに、雪がとても白く降り積もっています。
季節を知らない山というのは、この富士山のことです。今がいつだと思って、鹿の子のまだら模様のように雪が降るのでしょうか。
その山は、京で例えるならば、比叡山を20ぐらいに重ね上げたほどの高さで、形は塩尻のようでした。